試作 最初のいけにえ「あゆ その1」
とにかく造る、そう決めたは良いがどれにしようか、と考える。
コスト的な要素はこの際まるっきり無視するのがベストです。
あまり細かくなく、かといって簡単そうでないもの(特に塗装が)をチョイスすべきと考え、
「りざあ堂」さんの「大空寺あゆ 1/5スケール」、これにしました。
丁度よい大きさで、ごまかしが利かないのでモデラーとしてのリハビリはもちろん、フィギュア
組み立てのスキルアップも狙える、という一石二鳥なチョイスと自画自賛。
というか、自賛するポイントが違うような気もしますが、それはこの際おいときましょう。
さて、キット自体は真っ白けの良い色をしています。
一瞬、サフレスで行こうとも思いましたが、ここはそれ、手を抜かず(いや、サフレスが手抜き
という意味じゃありませんよ、むしろサフレスは相当な技量とセンスが要求されますです)に基本を踏襲すべきです。よってプライマー処理はグレホワで
きちっとやりましょう。
というよりも、恐らくパテで酷い事になりそうな気もしますれば、サフレスは無理という感じも
しないでもありません。
まあ、兎にも角にも「あゆ」で、という事で。
その1 パーツチェック
さて、造るはイイが先ほども述べたようにフィギュアに関してはズブの素人。何から手を着ければ
いいやらさっばり。
ま、ガレージキットだろうとメーカーキットだろうと取っ掛かりは一緒だろう、という事で、まずは
パーツチェックから。
開封してパーツリストを開き、現物を並べてみる。
ふむ、まあ揃っている、と。
事前知識では、やはりガレキは「素」の状態だと如何ともしがたい状態のようです。
バリ、ランナー、ゲート、パーティングライン、いずれもメーカー品とは比べようもありません。
もっとも、これがガレキのガレキらしいところと言えば言えなくも無い。
今回の「あゆ」ですが、
型のズレなのか、パーティングラインにそって段差があるパーツがちらほら。
うむう、これはかなり神経を使いそうだ、手ごわい…
その2 クリーンアップ
当然の事ながら、ガレキにはリムーバーが残っています。これはメーカー品でも同じ事で、
ガキの頃、ハセガワ1/72のファントムを造った時にかなり痛い想いをした記憶があります。
てことで、資料の本にもまずはリムーバーを除去することから、と書いてありますれば、
洗浄する事にしましょう。
ひとまず、大きなランナー残り、バリをコシコシとそぎ落として、ザブンと洗面器へ。
本当は「ソルベント」とか「ケトン」とか使うと一発で落ちるのですが、リムーバーどころか
キットそのものが「溶け落ちる」可能性もあるので使わない事に。というか、そんな有機溶剤は
一般に売られていないのでどのみち恒久的には使えませんけどね。
てなわけで、何を使って洗浄するか悩んだ挙句、わりとオーソドックスなものに落ち着きました。
食器洗剤、プラスクリームクレンザー。
食器洗剤は油分落とし、クレンザーはコンパウンドとして機能し、これをあわせることで泡がいっぱい
できる、と。
いや、べつに泡立てる事が目的ではありませんけど。
ひたすらガシガシと洗って磨いてあげます。
で、綺麗さっぱりになったところで、いよいよ作製に取り掛かります。
その3 下ごしらえ
パーツの洗浄まではほんのプロローグに過ぎません。
ここからが、本当の意味での作製開始と言ってよいと言えます。
何しろモノがモノですから、整形やら補修やら、下地処理やらが最大の労力を要する部分なのです。
てことで、まずはパーツごとの状態を再チェック。
まあ、パーティングラインが大きく、バリも所々あったりします。
で、ありました。欠損部分。
コレ
うぎゃ〜!(byウェンディ・ギャレット)
とはいえ、これもガレージキットならではの不具合、というかこういうところの処理も、造る上での
楽しみとも言えなくも無いかもしれなくも無い。
ここで、早速使うことになる「エポキシパテ」。
エポパテは混ぜる時にべたべたになるんで、あまり好きじゃありません。
でもまあ、木工用に比べれば匂いもさほどキツくはありませんので、ベタベタはシンナーで落とすので
気にせず練り上げます。そりゃあもう、練りまくりです。
という事で、まずは「おみ足」から処理する事に。
カッターでパーティングラインを削り、大雑把にペーパー処理。この足のパーツが1番段差が大きかった
ので(とはいっても0.2mmあるかないかくらいですが)殊更丁寧に、と。
いやあ、やはり出ました。気泡。
パーティングラインの処理が終わったところで、気泡のパテ埋めと欠損部分の補修を、と。
そんなカンジで…
硬化するまで中断とあいなりました。とりあえずこの日はここまでで中断です。
次の日、再開、という事で。
何しろ平日は時間がありません。こつこつと進める事にしましょう。てことで、
再び下ごしらえに勤しみます。
昨日パテを盛った部分を再チェック、当然の事ながら硬化してますんで、表面処理をする事に
しましょう。
こしこし、しこしことペーパーをかけてパテ部分を整形、均し。
なんとか整形でけました。
話変って
さて、なぜおみ足からかと言うと、なんといいますか、足って
エモイワレヌイロッポサ
がありますんで。
私は足フェチなのでしょうかね?
いや、そうなんですけどね。
とはいっても、野郎のスネゲたっぷりな足は見たくもないですけど。
てことで、この「いかにも女性」ってなカンジの肉質感を損なわないように、かつ艶やかさも最大限に
表現したいので、勢いのある最初はやはり「足」からです。
とはいえ、腰、胸、腕、そして顔も、どれをとっても同じなんですけどね。
結局はなんでも好き、という事で。
節操なしですみません。
さあ、となれば今度こそ表面処理に勤しみましょう。
という事で、ひたすら削ぎ、削り、磨いていきます。
1番の苦労どころはやはりツインテール部分です。毛先が入りくんでいるので、デザインナイフでも一苦労。
一通りのサンディング処理完了までに実に4日間を費やしました。
その4 プリフィットチェック
両足と中胴、上体の表面処理が完了し、プリフィットチェックです。
本来は開封1番、というか2番目に行うものなんですけどね。
要はパーツの合いをチェックするわけです。
当然、なんもしないと組める状態にはなりませんので、ピンバイスでロンジロンというかフレームというか、
そんな感じの骨組を入れる孔を開けます。
で、1mmのアルミ線を差込みつつ合わせます。
ま、悪くはないようですのでそそくさと次の作業へ。
その5 下地処理
で、いよいよサフフキです。
基本に忠実にレジンプライマー(グレー色)を均一に吹いて乾燥します。すると、やっぱりあちこち孔が
あいてます。パテを盛りつつ再度サフ吹き、チェック、と、納得するまで繰り返しです。
その間、髪の毛部分の細工も進めます。
上体のサフ重ね吹きでモールドが埋もれる様を見ているので、頭部、ツインテールの凹彫モールドをキツメに
してやることに。
超ミニ彫刻刀があると便利なのですが、そんなもん、いまや何処にも売ってません。
てことで考えた挙句、切り口が鋭くなってしまうのを覚悟で「Pカッター」にて彫る事に。
いやあ、ところどころ失敗こいちゃいました。
ま、極小の切り傷はサフでごまかすとしましょう。
んな事をやっている間にボディの乾燥もあがり、白サフを吹くことに。
同時に、顔面部はプライマー(グレーサフ)処理からはじめます。
髪の毛部分は発色を考慮して白サフのみ。ここだけなんかサフレスもどきです。
乾燥後、またもや修正。なんか、慌てているわけでもないのですけど結構見落としがありんす。
という事で、ここもパテ盛り修正して再度サフ吹き、と。
結局サフ吹きは延べ4日間です。
う〜ん、素人だとこんなもんなのかな?
イマイチ下地のグレーも隠れきっていないような気も…
ま、なんとかなるべ、という事で、次はいよいよ塗装へと。
その6 塗装
塗装をする前に、カラーの確認を、と。
う〜ん、結構足りない色がある、という事で、近くないホビーショップまで出向く事に。
そのホビーショップ、家から40kmも離れているんで、結構大変なのですよ。
なにしろ近場に無いしね。この手の資材扱っている所って限られてくるんですよねぇ。
往復高速使って行きました。
で
そうそう頻繁に来られないという事で、余計なものまで購入してしまいました。
塗料関係、工具関係はもちろんですが、
コレと
コレ。
ついでに
こんなものまで。
…何しに来たんだっけ?
まあ、いいや。
というわけで帰ってから早速作業開始。
まずは色の調合から。
基本は肌から塗るわけですが、コレがまた難儀です。
思った通りの色が作れない。
グラデーションのことも考えて、あれこれと試行錯誤しているうちに気がつけば真夜中。
ようやく出来たのが午前3時ごろ。
う〜ん、今日はここまでにしときましょう。
昨夜作った「肌」の色を改めて見てみると、どうも納得がいきません。
てなことで再び調合し、なんとか妥協できるレベルにまで漕ぎ着けました。
さっそく、エアブラシにて吹きつけ開始…
やはり、下地が完全に白じゃないんで気に入らん…
一通り吹き終わって乾燥させてみると
う〜ん、気に入らんなぁ。
エアブラシが下手ってのもあるんですが、なんか違う。
という事で、もっぺん全部引っぺがしてやり直す事に…
う〜ん、貴重な一日が無駄になってしまった。
で、再度サフを吹いて、乾燥させることに。
でこの日は終了。
いや、3月も中旬ともなれば少しは暖かいんで助かるのですが、
ともかく疲れる作業ですなあ。
3度目のやり直しを経て、どうにかこうにか肌の部分は塗装完了。
とは言え、いまいち気に入らないですなあ。
ま、あとはグラデーションでなんとかすることにしましょう。
という事で、完全乾燥までの間、今度は頭部へ、と。
あゆのチャームポイントは、あのわけのわからない髪形もその1つ。
ありえない程の金髪ちゃんを演出すべく、クリアーイエローで攻めてみます。
髪の毛の流れっていうのを表現しようと、平筆でそのような感じに塗ったくりましたが…
これが見事に失敗…
顔料系ならまだしも、クリアー塗料でこれは至難の業でした。エアブラシならなんとかなったかも
しれませんが、やっちまったものは仕方がありません。
てな事で、ここもやり直し。サフ吹きから…
その合間にも、リボンの塗装も終らせます。
結局は「イエロー」をブラシがけし、グラデーションもつけて髪の毛は完了、と。
てな事を繰り返しつつ、とりあえず何とかなりました。
そして次は細かい所の筆入れと、魂を吹き込む「眼入れ」です。
この「眼入れ」が、フィギュアにとって出来を左右するといいますか、そこが全てのような気がします。
絵にしろ造型にしろ、人型はやはり「眼」がそのキャラを特徴付ける部分です。
眼は口ほどに物を言う、というのは、有機物無機物問わず、なのでしょう、きっと。
ましてやあゆです。
そここそが最大のアイデンティティーと言っていいでしょう。
これと同時に、アクセサリー(要はコスチューム関係ね)の仕上げです。
まずは「眼入れ」の下準備を、と。
シャーペンでまずは下書きをします。
実は私、「眼描き」が1番苦手なのです。下書き時点でやり直すこと数十回、なかなか納得のいく表情が
創れません。
で、ようやく下書きを完了させて、とりあえずビキニの塗装へ。
ビキニも苦労します。
このあゆは「黒ビキニバージョン」にするのですが、その質感がまた微妙です。
エナメルで艶々に塗ったくると、なんかボンテージ風になってしまうし、フラットで塗ってもなんか
違うような気もするし…
てな事で、さんざ迷った挙句、エナメルにて。 まあ、少し濡れたビキニという事に…。
コツコツとモールドに沿ってマスキングして、平筆にてベタっと一気に。エナメルは楽でいいや。
乾いた所で、今度は「マチ(というか縁)」部分を、と。
ディーラーさんのモデルではグリーンでしたが、私はここで「蛍光グリーン」を使うことに。
どうでもいい拘りなのですが、私はグリーン部分はバランスに影響が無い限り、この蛍光グリーンを
使うようにしてます。単純に発色が好きなだけなんですが。
ただ、これも塗り重ねが必要で、この部分だけで述べ2日かかりました。
取り合えず残すは「顔」だけとなりました。
まずは肝心かなめの「眼」から。
下書きに沿ってエナメルで。
基本的に広い部分から何層にも分けて塗ります。つまり最初はまん丸とかに塗りつぶすのですが、
「それじゃあ下書きの意味無いじゃん」
というなかれ、あるのと無いのとでは、取っ掛かりから違ってきてしまうのですよ。
ブルーでまん丸(要は瞳の縁取り)を描いて、ラッカーのクリアでコート。
次にエナメルの白で白目部分をペタペタと、でまたクリアコート。
てな具合で進めます。この辺は「りざあ堂」さんのHPを参考にさせて頂きました。
結論からいって満足のいくできでは無いです。う〜ん、ま、しょうがないか。
完全に乾燥したところで、睫やら眉毛をささっと描いて、ひとまず完了。
これにて、塗装工程はコンプリートです。
う〜ん、なかなか思ったようにいきませんなぁ。
その7 組立
さて、あとは組み立てです。
ぷりフィットの段階で、やや組付状態に難があるのは確認済みで、それが大して影響ないレベルだった
ので特に問題なく組み付けへ…
と、思いきや、肝心かなめの太腿付け根にギャップが…
みぎゃ〜!(Byミハエル・ギャレット)
とはいえ、今更パテもなんだなあ、と「逃げ」に走り、結局そのままに。
髪の毛はツインテールを残して全て接着し、ツインテールはワイヤーで挿してあるだけの状態。まあ、これでも
充分です。
組み立て自体はすんなりと終りました。時間にして約1時間程。
ということで、アトリエEGRES初のフィギュア
「りざあ堂 大空寺あゆ 1/5 黒ビキニVer.」
の完成です。
出来上がったところで気付いたんですが、「お肌」のグラデつけるの忘れてた…