2011年度 岐阜基地航空祭








プロローグ 2011


2011年。
この年は、誰にとっても忘れる事のできない、そして忘れてはいけない年となりました。

言わずもがな、未曾有の大災害が日本列島を襲い、信じられない程の尊い命が失われた、あの「東日本大震災」の事です。

私の実家は茨城県なのですが、内陸部(というよりは県西部)だった為に津波の被害こそありませんでしたが、約2分以上続いた という大きな揺れの爪痕を見るに、辛くも体験せずに済んだと思うと共に、その恐ろしさを理解するには充分でした。
そして北関東から東北一帯の沿岸部を襲った津波の恐ろしさと、被災された方々の様々な思いは私の想像を遥かに 超えたものとなったと言えるでしょう。


そんな事もあってしばらくはイベント等にも出向く意欲もなく、自粛というよりもショックが先にたってどうにもこうにも 何かにつけ手付かずの状態が続きましたが、もちろんそれで良い訳もないとようやく考えられるようになり、そして行動も 伴うようになりました。

まぁ、その手始めとして「デジタルハンディカム」を購入した事もあって、夏には百里基地へと赴いた訳なんですが、 これが見事に玉砕。
台風とかち合ってしまいナイトフライトを撮るどころか、通常フライトさえもキャンセルとなる有様で撤収、その帰路には 台風の最中、中央自動車道を走って非常に怖いドライブを強いられた訳で、初っ端から出鼻を挫かれた感じでした。
大雨と強風、視界ゼロ、前後と右にトラック、しかも前後車間は2メートルもなく、時速は100km/h超えという 状況はシャレになりませんて。
ブルー・エンジェルズって凄いよなぁと、見当違いの感想すら抱いてしまいました。


そんな感じでずるずると年末近くになり、先の震災を辛くも回避したブルーインパルスも見たいという事で、近くにいながら もう20年以上も足を運んでいない岐阜基地の航空祭へと出向く事にしました。

実は岐阜基地の航空祭は今回で2回目。
初めて岐阜基地へ行ったのは高校時代、まだF−104が現役だった時ですから、もうはるか昔の事です。
たしかあの時は、既に岐阜でしかマルヨンの飛行を見ることができなかった時で、茨城から1人で急行「銀河」に乗って 行ったのを憶えています。

あの頃とは基地の回りも一変しているようで、というよりも、当時の基地の周りなんて全く憶えておらず、ましてや 飛行機以外視界になかったんで比べようもありませんが。


そんなこんなで、今回は本当に久々に百里以外の基地祭への出撃となりました。
例によって今回もプラクティスから見る事に。

ちなみに会社の同僚数名は基地から程近い所に住んでいて、プラクティスが始まると「うるさくてねー」なんて言葉が 出たりして、大体のフライト内容も想像できたりします。
が、今年はそれが無かったのはどうしてだろう?





プラクティス 2011.11.26


さて、ショーウィークの土曜日です。

普通、というよりも今までの感覚からすれば、前日の予行はその殆どがフライトディスプレイのほぼ全てを行うもの、 というのが私の中に固定観念としてありました。
今回、それは見事に覆されることになったわけで。

結論から言いますと、この日行われたフライトはブルー・インパルスのプラクティスのみ、でした。

わりと、というか一番の目的であったファントムのフライトが無かった。
岐阜って毎年このパターンなんだろか?


この日は朝早くに起きて、車で出発。
事前情報から、何時いかなる時でも渋滞するというポイントを早めにパスする為にわりと早く出発したのですが…
そのポイントに行く前に、すでに慢性的なノロノロ渋滞に嵌る事に。
土曜日、しかも朝7時30分ですでにこの状態。
もう、ホントに参ってしまいました。

上(自動車専用道路)使っちまえば良かったかなぁと思いますが、すでに後の祭り。
名古屋周辺はいつもこんな感じです。
マナーも最悪だし、ホント怖いし、あまり車で出かけたくない地域です。

というか、東海3件(愛知・岐阜・三重)はこれが普通らしくて、安全運転はかえって迷惑なんだとか。
事故っても保険でどうとでもなるっていうのが常識らしいのですが、そういう問題ではないと思うのは私だけですか?


そんなこんなで目的地に着いたのは午前9時ちょっと前。
まずは基地外周、主にランウェイ28側(東側)を回ってみる事に。

思えば、岐阜基地の外周なんて殆ど初めてです。
フェンス沿いにランウェイエンドまで来ると、あたりは木々が立ち並んでいます。
その合間にしかランウェイはおろか空も望めないとあって、ひとまずシューティング場所を探す事に。

わりと近い場所に開けた所を発見。そこで待機する事に。
わりかしメジャーな場所らしく、ギャラリーは多めです。皆さん近場の人たちですね。
ま、私も今では近場の人なんですけどね。
家族連れなんかもいたりして、毎年ここはこんな感じなんでしょうか。

ラジオ片手に車で待機していると、レディオチェックが飛び込んできました。
すかさず広場まで歩き、ハンディカムをセットします。
実はこれが初めての録画だったりします。購入してテストもしないまま、ずーっとしまいっぱなしのままでした。
行き当たりばったりのビデオシューティング、はたして上手く行くのかとちょっと不安。


しかして、空はこれ以上ないくらいの晴天です。
蒼い空にグレーの機体が映えるであろう絶好の撮影日和です。
ここ数年、こんな晴天の下で戦闘機のフライトを見るなんてなかったもんなぁ…

と、先ほどのレディオチェックから、一発目はブルー・インパルスから。
なんか新しいパターンだなあと思ったのですが、要するにこれは先ほどの通り、ブルーだけだったから、なんですね。
この時はそんな事、露ほども思わなかったです、はい。

順調にラストチャンスまで来た所で、録画オン。
タワーからクリアランスが下り、いよいよスタートです。
その模様はこちら。

2011年岐阜基地航空祭 ブルーインパルス予行 その1



続きは是非、YouTubeのチャンネルで御覧下さい。

↓YouTubeのチャンネルはこちら↓

UNCLE01FLTのチャンネル


インディビデュアルでのテイクオフは、なんだかもう見慣れた感がなきにしもあらず、ですが。
こうしてまったりと初めから最後まで、しかも第一区分を堪能するなんてほんとうに久しぶりです。
まして、ホームベースが大変な事になっている11SQの方々の苦労を鑑みれば、感激もひとしおといった所ですか。


さて、ブルーがランディングした後はぱったりと音沙汰なしです。
ここでようやく、本日はこれにて、という事に気がつきました。
そそくさと撤収する事になったとさ。

帰り道は迷わず上を使って、と思いましたが、行きと違って車が少ない。
なのでそのまま一般道で帰りました。
まぁ、途中やっぱり渋滞にはまったのは言うまでもない事ですが…





20数年ぶりの各務原 2011.11.27


さて本番。
本日は車ではなく電車でGO!となります。
ぶっちゃけ岐阜にしろ小松にしろ千歳にしろ、電車でいける基地祭ってのは楽でいいもんですな。
駐車場までの長い待ち時間もないし、帰りの渋滞もないし。
強いて難点を言えば、移動時に荷物がかさばる位ですか。
そんな事を思ってました。わりと本気で。
名古屋駅に着くまでは。

名古屋駅に着いて、JRから名鉄に乗り換える訳ですが…
事前情報があったにもかかわらず、列車がわからない!!

行き先、経由線、停車駅全ての情報が中途半端で、地元の人にしかわからない不親切な案内。
前回(20数年前)は岐阜駅から直だったので迷う事もなかったのですが、ここではダメです。
実は私、きちんとした地図さえあれば迷うことなく初めての場所でも行けるのが自慢なのですが。
さらには元鉄っちゃんでもあるわけで、線路図なんかもすぐにわかる能力もあるんですけど。
こと名古屋地区に限っては、それが通用しないのでありました。
それにまつわる「笑えない笑い話」も体験しているのですが、それについてはまた後日。

結局駅員さんに聞いて、今日は特別に三柿野で停まる急行が増便されているとかで、その電車を教えてもらい事なきを得ました。
さて、無事に列車に乗り、目的地の三柿野駅に。
電車を降りるとそこは…
ラッシュ時の日暮里駅も真っ青の大混乱でした。
しかも、名古屋駅でもたついたミスにより、すでにオープニングフライトは始まってしまってます。

駅から基地に入るのも遅々として進まず、ようやく基地内に入った頃にはすでにオープニングフライトも佳境にさしかかって いましたよ。

しかし…
オープニングも少し見る事ができたのですが、クリーン形態のF−4ファントムの凄いこと凄いこと。
そう、あまりにも激しい機動を難なくこなすF−15を見慣れたせいか、ファントムもこんなに軽やか且つ激しい機動が できる事を忘れていましたよ。

長らくTAC部隊ファントムの高機動を見ていなかった事もあって、逆に新鮮な感じを受けました。
もっとも、さすがにF−15やF−2と比べれば、若干鈍重な印象は拭えない所も否定できませんけど…

さて、場所取り。
もはや元々狭いエプロンはすでにイモ洗い状態です。
今年は特別かと思いきや、近年はこんな感じが続いているとか。
さらには今年はあんな事もあったせいか、自衛隊に興味を持って初めて来た方も多かったようで、来場者は述べ 11万人を軽く超えていたとか。

んん〜、体感的には入間基地の航空祭以上の混雑振りです。


結局、ランウェイ10側のタクシーエンド付近で落ち着きました。
オープニングも落ち着いた頃にようやくビデオシューティングができましたが、あまりいいタイミングにはありつけなかった のが悔やまれます。
なお、今回はカメラも持参していましたが、結局は動画のみとなってしまいました。
しかも、天候は一応晴れていますがヘイズが酷い。
真上はやや青空、そこ以外は曇りなんだかわからないような状態です。
逆光というハンデも相まって、かなり収録には不適な状況です。


オープニングが終わってからは、しばし大型機の出番です。
今回、私も初めて見ることとなるKC−767(でいいのか?)のお披露目です。
フライング・ブームを展開し、F−15を従えての模擬空中給油なんてやらかしてくれました。

これはもしかして全国的に初披露なんではないか?
その後、大型機とは思えない狂った軌道飛行なんかも見せてくれたりして、なかなか気合の入ったフライトでした。
そのまま着陸することなく、KC−767は浜松へ帰還したようです。

で、C−130の出番。
戦闘機と比べる事自体間違っているかも知れませんが、優雅な飛行はそれはそれで良いモノではあります。
と、こちらも負けじとかなり捻ったりして、もう驚きの連発となりました。


さて、そんなこんなでしばらくすると、早くもブルーインパルスの展示飛行となりました。
午前中、というのはホームベース以外ではあまりないですねぇ。

で、本番でのブルーはこちら。↓



予行もそうですが、かなり編集してあるのはお見苦しい部分をトリミングしているからですのであしからず。
ハンディカムって、慣れないとかなり扱いづらいですね…
明るいとモニターが見えないので、被写体を追っかけるのは“勘”に頼る部分が大きい、という所が特に。
あと、戦闘機を撮る時はオートフォーカスも障害になってしまいますねぇ。
これはかなりの修練が必要と思いました。


さて、ブルーも一段落したところで、メシにする事に。
とはいえ、この混雑ぶりです。落ち着いて食べられるわけもなく、軽くジャンクフード系を採る事に。
しかもドリンクもかなり品薄で、コーラが飲みたかったのですがほぼ売り切れ。
仕方なくフィリピンの出店(!)にてマンゴージュースを買ってゴクンと。
美味しいんですが、喉の渇きを癒すには向かない、と思います。

余談ですが、このところヤケに「ドクター・ペッパー」が恋しいと感じるようになりました。
中部地区にはその存在すら知られていないみたいな扱いで、確かにちょっと独特なクセのある味ですが、 数年前に帰郷した祭久々に飲んでみたら、これがかなり美味かった!
以来、帰郷する度に買い込んできては大事に飲んでたりします。
というか、こちら(中部以西)では受け入れられない味なんでしょうか…
ルートビアよりはとっつき易い味だと思うのですが。
比較物が間違ってますか?


で、昼過ぎ。
ここからは岐阜名物の
「異機種変態、もとい編隊」
がハイライトです。
その前に地上展示機を遠目に眺めると…
XC−2もすでに展示機として出ていますねぇ。
RF−4は噂の特別塗装機が来ていました。
ああ、百里に行きたい!と思ってしまいます。
その他は……あまり記憶になかったりして(汗
そうそう、唯一のノーマルF−4EJ、#301は健在でした。

そんなこんなで午後の展示飛行の開始です。
ここでも機動飛行を織り交ぜたフライトが満載で、かなり充実した内容です。
なかでもやはりファントムの飛びっぷりは最高です。
近年、TAC部隊でもここまでの荒々しくもダイナミックなフライトはないですねぇ。

ファントムの飛びっぷりまとめ動画



さて、フライトもたけなわですが、ここで撤収する事に。
理由は朝の混雑振りを回避する為。
てなわけで、まだ機動飛行も残っていますが後ろ髪を引かれる思いで会場を後にします。

まあ、結局は大した混乱もなくすんなりと帰る事ができました。
聴く所によると、ブルーを午前中に配置したのはこの混雑を軽減する為なんだとか。
妙に納得です。




20数年ぶりの岐阜は…


ほんと、久しぶりというには歳月が経過しすぎた岐阜の航空祭でしたが。
実戦部隊の航空祭とは一線を画す、というのはどうやら今は昔のようですね。
かつてのマルヨンのフライトは新田原(にゅーたばる)程の高機動はしませんでしたし、当時はやはり 異機種変態、もとい編隊がハイライトでしたしね。
今回の機動飛行、特にファントムの気合の入れようは、そんな固定観念を見事に吹き飛ばしたフライトでした。


ただ、そんな感動とは裏腹に…

やけに、ほんとうにこれでもかというくらいにカップルが多かったのは何故なんだ!
孤独な私に対するあてつけなのか!(←ヒガミ)
というか、ほんとカップルがやたらと目につきましたねぇ。
ブルーの素晴らしさに触発されたように、私の心はブルーになっちまいましたよ…
ん、あんまり上手くないですか、すみません。
いやホント、羨ましい限りです…


何だか湿っぽくなってしまいましたが、航空祭そのものは混雑を除けば十二分に堪能できましたです。
ファントムが健在の間は、これから毎年通うことにするぞ!




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