2010年度 百里基地航空祭





今年の盛夏は一足早くやってきた!
なにやら今年はエルニーニョではなくラニーニャなんだとか。
というわけで行って参りました、2010年度百里基地航空際です。

思えば百里基地の航空祭も2006年以来ですから、実に4年ぶりとなるわけですか。
昨年はとある事情により航空祭には行けませんでしたし、5年ぶりの来日となったサンダーバースも 見られずじまい。おまけに初夏に訪れた百里基地も天候に翻弄され散々な結果となるなど、非常に 残念な一年となってしまったわけです。
そんな鬱憤を晴らしてくれたのが今年初めのマイケル・シェンカー来日公演だったわけですが、それだけで 満足できるほど慎ましい私ではなかったりして。
そんなこんなで、非常にタイミングよく忙しくなった仕事もほっぽり出して百里参戦決行とあいなったのです。
と、そんなことを言っていたら同じ日にワンダー・フェスティバルもあったりして。
もちろん、私にとってどちらを取るかなんてのは愚問というものです。



プロローグ 2010.07.23


さて、折しも連日の猛暑日続きとなったエアショー・ウィークでしたが。
23日の金曜日、朝から汗だくになりつつほぼサウナ状態となった会社の現場で特殊作業を続け、その疲労を 抱えたまま三重県を出立する事に。
もちろん今回の足も車です。
21時を少し回った所で準備を整え家を出ました。途中で土産を買って東名高速をひた走ります。
何時も思うことなのですが、どの時間帯でも車がやけに多いですな。

実はこの2日前、出張で群馬は太田市へと車を走らせたばかりでした。まあ、往路だけの運転でしたが、その時初めて 走った中央自動車道の空き様にいたく感動し、中央道を使っちゃおうかとも思っていたのです、実の所。
がしかし、例の首都高の煩わしさとあちら方面からのルート知識も乏しかったので、ついついいつものルートに 落ち着いたわけですが、これがまず第1の間違いでした。
途中、事故により大渋滞、というか1時間近く停車する羽目に。 疲れと眠気と苛立ちと膀胱の圧迫感に苛まれながらようやく抜け出られたのは予定を大幅に過ぎた時間帯でした。

まあ、ね。こんなもんです。

で、東京について首都高を走ってると、見慣れぬ分岐路が。
「→常磐道」と書かれていたので、これが例のアレかと思いそちらのルートへ入ったのですが、これが第2の間違いでした。 いつもの向島経由三郷行きルートの2倍ちかく時間がかかったように感じました。まあ、確かに分岐点が少なかったので 迷う事がないという点では良いのかもしれませんが、すでに固定ルートを憶えている私にとっては特に利便性はありません でした。というか遠回りなだけのようでした。

まあ、ね。こんなもんです。

そんなこんなで夕飯もまだなので、常磐道に入り守谷SAで美味しくないカツカレーを腹に入れ一路百里へ。
早めに着いてプラクティスが始まるまで車内で睡眠、というのが当初の予定でしたが、これが第3の間違いだったのです。
実は24日土曜日はプラクティスではなく招待客を招いてのプレ・ショーが行われるとの情報を得ていたので、ベストな ポジションで本番通りのフライトをまったり眺めるつもりでいたのです。
が、それが大きなミスでした。

百里周辺に着くと、なにやら3時頃だというのに主要道路のあちこちに警備員の姿が。
何かおかしいなと思い、鑑賞ポイントである西門周辺に入ろうとすると、そのあぜ道が封鎖されているではありませんか!
そればかりか一番ポピュラーな鑑賞ポイントである北門すら入れない。
見られる、見られない以前に、こちとら睡魔が襲ってきているので早くなんとかしたいと焦るばかりで…
最後の希望を託し、裏道からアラート前を目指す事に。
と、ここの通常の入り口は封鎖されていなかったので、そのまますんなりとアラート前に辿り着けました、とさ。時間は4時を ちょっと過ぎた頃でした。

しかし、茨城空港が開港した事で、基地西側も結構様変わりしていましたね。特に道路が。
しかしてその後友人と合流。到着直後にその友人にはメールで状況を知らせてあったので迷わずアラート前に。 友人が途中のコンビニで朝飯のサンドイッチを買ってきてくれたので、これで空腹も癒される事に。
ほんとに感謝、感謝です。という事で、ここでようやく一息つけました。


まだ朝靄も残る時間。アラートハンガー外のF−15は何なんだろう?



予行というかプレ・ショー 2010.07.24


で、そのプレ・ショーが始まったのは8時半あたりだったように記憶してます。実は時間の感覚というか記憶があやふや… 定刻のアラートのランナップもなかったせいかいまいち時間が把握しきれていませんです。
いや、単に眠くないのに眠かった、というわけのわからぬハイな状態だっただけなのかもしれませんが。
ギャラリーもそこそこ増え始めました。が、思ったほど多くないのが気になりますが…
そんなこんなでウェザーチェックとオープニングフライトを兼ねたT−4が動き始めました。今日の離陸は21からの ようです。昨年と違い、遠い方の本来の滑走路を使用しますので、21L、という事ですか。


割と少なめなギャラリー。この鑑賞ポイントももはや定番ですか。
03L使用なら一番迫力があるのではないでしょうか。





今回はしっかりとラジオを持っていたので、動きを察知するのに苦労はしませんでした。
ちなみに、各飛行隊のコールサインは昨年来た時と変ってませんでしたね。
305が“エンジョイ”、302が“ジミー”、501が“キューダス”でした。
と、しばらくしてブルーも到着です。3機、4機のエシュロンからオーバーヘッドでランディングします。





ラジオではスケジュールは全て定刻通りとの事。
次の「編隊航過」の為にF−15、F−4、RF−4が次々と離陸して行きます。
やはりファントムの爆音が一番イイ音です♪













編隊飛行組が離陸後、しばらくして「茨城空港」へ「スカイマーク」のB767が到着しました。 自衛隊側エプロンとは真逆の方向に動く旅客機は、なんか微妙に違和感を覚えます。

そんなことを思いながら待っていると、今度はF−15が単機でこちらにタキシングしています。
ランウェイのアクティブは21なのですが、なぜか03エンドに。実は機動飛行担当でした。
アラートハンガー前ではアラート任務に就いている同僚パイロットがエールを送り、機動飛行担当のパイロットが F−15のエアブレーキを開いてそれに応えているところが微笑ましい光景でした。


アラート要員が総出で応援してました


ランウェイエンドで待機中の#911号機


じりじりと日光に喘ぎながら待つ事しばし、異機種編隊がやってきました。
総勢10機の大編隊です。


岐阜名物に勝るとも劣らない異機種編隊。
昔はF−4だけとかF−15だけの編隊でしたが、どちらも見ていて壮観ですね


その編隊通過後、すかさず単機のF−15がランウェイに進出し、機動飛行を始めました。
お約束のハイレート・クライムからですが、やはり遠い…


悠々とランウェイへ繰り出す#911号機


会場には招待客が見えます。
やはりここからだと遠いですねぇ。


定番のダーティ・コンフィギュレーションでのウォークもちょっと遠め…


数種のマニューバーを終え、ホールドエリアへと向かって飛んでいきました。
その後、先ほどの大編隊を解いて機種ごとの編隊となった編隊飛行組みが航過していきます。








航過後、またぞろ単機のF−15がマニューバーを行いランディングです。 わりと質素な内容でしたが、遠目からみてもその機動はダイナミックでした。




そこに先ほどの航過組が帰還。コンバット・ピッチでランディングとの交信を聞き、北方に目を 凝らします。と、やってきたのはF−15から。予想外に各機の間隔が広くて戸惑いましたが、 ベストな位置でブレイクを堪能できました。
続けてF−4、RF−4も同様にコンバット・ピッチでブレイクしランディング。 これにてひとまず小休止といったところですか。








ドラッグ・シュートの切り離しも今ではF−4ならではです。
F−2はどうなんでしょうね?




やはりシャーク・ティースはファントムが一番似合います。


いやしかし、とにかく陽射しが強くて暑い。
フェンスに絡まった草の陰を利用して涼んでいましたが、陽が高くなるにつれそれもできず。
徹夜状態に加えてこの暑さに、たまらず友人と撤収しようか、との意見合意に。
ブルーにしろF−4のAGGにしろRF−4の偵察航過にしろ、明日も見れるんだし、との考えもあって 他のギャラリーよりも一足早く帰路に。
まあ、これが本日最後の間違いとなることは、さすがにこの時は思いもしなかったのですが。
帰る間際に、スカイマークのディパーチャーがあったので一枚。




帰路につく丁度その時、なぜかアラート前に白バイがやってきました。曰く「私有地にいる人は出て行って下さい」 との事。まあ、「誰か」が通報したんでしょう。白バイの隊員もやっつけ仕事のように手を振って去って行きました けどね。
さて、実家へと無事到着しようやく人心地。めたくそ眠かったので飯をご馳走になりすぐに寝ました。が。
雷の音で目が醒めました。時間は寝てからまだ数時間ほどでしたか。
数秒間隔で雷がなり、それも雷光と轟音が全く同時。という事は、雷雲は直上に停滞していたらしいです。
母曰く、雨もそんなに降らないのにこんなに激しい雷は初めてとのこと。聞けば知り合いの倉庫が落雷の直撃を 受けたらしいですが…
うう〜ん、昨年に続き雷に遭遇ですか。怖いですなぁ…
まあ、微妙ですがこれで明日はとりあえず雨は避けられたと信じたい所です。




夏、そして祭り本番! 2010.07.25



で、当日。
午前3時に起きて一路百里へ。
今回友人は用事があって時間半ばで帰らなくてはならないとの事で、インディビデュアルでの出撃です。 今回は航空祭会場の駐車場もあるとの事でしたので、何の心配もなく車で行けるのが嬉しい所です。

現着は4時すこし前、目標は南門駐車場でしたが、すでに並んでましたね。駐車場まで約1Kmといった所で ホールドとなりました。
空はうっすらと雲が点在していますが、まずまずの天候となりそうです。とりあえず天候だけは…
待つ事しばし、列が動き出して無事駐車。
7時頃にゲートオープンするかと思い、さらにここで待機です。
と、友人は正門からのエントリーですが、そちらは一足早く開門されたとの連絡が。
こちらもぼちぼち。

無事南門をくぐりエプロンに向かいますが、その途中。
ハーモのところにF−4が何機か駐機していますが、良く見ればエンジンもなく所々バラけていたり…
ようするに、用廃になったファントムです。
なんとも言えない思いが溢れてきてしまいますが、これも運命(さだめ)。あわよくばスクラップではなく、全ての 機体がモニュメントなりでそのままの雄姿を後世に残して欲しいと願わずにいられませんでした。
思えば、これらの機体は行ってみれば私らと同世代です。それ以上に、319号機なんて私が直に整備した 事もある機体ですし、感慨も一際深くなるのも当然です。
時間が一番残酷で一番優しい、って事ですよね。
あれ、なんか聞いたことのある台詞のような…






なんというか、表現し難い寂しさがあります。


ハーモの一角にある土手。ここに20mmバルカン砲の弾がめり込むわけです。
ちなみにハーモはガンの射軸調整をする所です。


用途廃止になった実機を使ったモニュメント。実物の垂直尾翼です。


こちらは305飛行隊のモニュメント。305号機でないのは仕方がないところですか


さて、気を取り直しエプロンへと向かいます。
友人と合流する前に、本日の主役達を眺める事に。
ついでにハンガーにも。


















さて、無事友人とも合流し、エプロンにてくつろぎモードに。 フライト開始まではまったりと待機です。

と、わりと早い時間にWXが離陸していきました。
今日はF−4とT−4の2機という豪華なウェザーチェックです。もちろん、この2機が オープニング・フライトを兼ねているわけです。
で、さっそくラジオを聴くと…
天候はまずまず、大きな雲もCB(積乱雲)も今の所ないとの事です。
ところが、霞がかっているのかスモッグなのか、視程はイマイチのようです。
12マイル(約21Km)を超えると見難いとの事。この時間でこれでは…と若干の不安がよぎります。




WXもそのままオープニング・フライトを行って無事ランディング。
そしていよいよ本番開始です。
ここからは画像でダイジェストで。


昨日同様の大編隊。昨日よりは近いのでその迫力はかなりのモノ


こちらも昨日よりは近くで見れたハイレート・クライム。
パワフルで迫力満点です。










嘉手納から参加した米空軍のKC−135。どっかの帰りに立ち寄ったのでしょうか?


同じく米軍のF−15。外見はF−15Jに似ていても中身は全くの別物。


三沢から来たF−2。今回はフライト無しです。


展示飛行に向けて準備する302飛行隊のファントム。
この後「一日基地司令」がスクランブルを発令し出撃です。


デモ・スクランブルからAGG展示にむけ離陸するファントム。
ダンダラ模様はやはりあの漫画からでしょうか?結構似合います






迫力のAGG。AGGとは対地射撃のことです。
本当はもっと進入の角度が深かったように思いますが、高度はこちらのほうが低め。
















2回目の機動飛行を行うイーグル








かつては6空団の定番だったスプレッド・アウトも、いまでは偵空の十八番ですか。






低空での機動はやはり偵空が得意とするところだけあって迫力満点です






さて、偵察航空も終えたところで、友人は一足先に帰宅する事に。
地元の祭りの委員との事で、それでは仕方がないです。頑張って。

あとはブルーを残すだけか、と思いきや、ここでなにやら救難隊に動きが。
本物のスクランブルがかかったようです。ここからではよく見えませんし、おまけにラジオもVHFは無視して いますので詳しい内容はわかりません。後で知った事ですが、例のヘリコプター墜落事故での緊急出動でした。
航空祭真っ最中のスクランブルは、過去2回ほど経験がありますが、いずれも対領空侵犯処置、いわゆる戦闘機に よるスクランブルだけでしたので今回の救難隊のスクランブルは初めてです。

で、腹も減ったし、今回はちょっと趣向を変えて会場外からブルーを眺めようとそそくさと会場を後にして 駐車場へ向かいます。
途中で買った牛肉串焼きが美味かった。なんでこんなに美味いんだろ…
と、ラジオは常にワッチしていますのでブルーの動向も把握しつつ。
今回ブルーはチャンネルをタワーではなくGCAを使っています。
なにやら6番機(?)にトラブルが発生したようで、乗り換えのようです。これ、前回(2006年)と同じ ですね。おかげで車のところではしばし待機となりました。

いよいよ上がるようですが、なぜかオポシング・ソロの単機だけが離陸していきます。
理由は、視程のチェックです。
天候だけで言えば文句なく第一区分の演技決定なのですが、視程が悪ければ晴天だろうとフル・ショーは無理です。
で、その視程は、というと…

「今、センター(会場)から9マイルですが、もう会場見えませんね!」

との事です。これではろくな演技もできないのでは?との予感が。
そんな感じで本隊も上がりますが、やはりトレールで1機ずつの離陸です。これも前回と同じ。
そのままダーティ・ローパスをして会場を離脱しますが…

「う〜ん、リーダーズ・ベネフィット行こうか…」

とリーダーの声。どうやら水平系の課目だけってのはすでに決定したようですが、何の課目をプログラムするかは その場で決めているような感じです。
まあ、こんな所もブルーの凄さといえばそうなのですが…


わずか3マイルほどでこのありさま。
これでは第一区分は無理でしょうね。






皮肉にも基地東側はわりとクリアだったりしてました。


結局数種の水平系課目をこなして、早々とランディングです。
こちらも渋滞に巻き込まれる前に、サヨナラ・フライトは我慢して実家へと帰ることに。

なんとも尻すぼみな形となってしまいましたが、こんな航空祭もあって良いんじゃない?と妙に納得できた航空祭です。 なによりフライアブルなファントムが見れただけでも充分です。
今年の冬に、こんどは通常訓練を見にまたここへ来よう。




エピローグ 2010.07.25


さて、実家で小休止してこれから三重県へ帰るわけですが、やはり気が重い。
ロング・ランという事もありますが本日は休日です。ETC割引のお陰であちこち混雑することがすでに決定事項として あるのが一番の理由です。
ちなみに、私はいまだにETCを付けていません。あんなもんクソッ喰らえです。どのみち使う事もめったにありませんし。 なお、今更ながらの「エコカー」ブームもクソっ喰らえと思ってます。大量の廃車を生み出し、増産による二酸化炭素増加 を引き起こし、ETC割引と併せてかえってガソリン消費が増えている事に、なんで誰も気付かないんだろう?
というか、日本有数の交通マナー最悪を誇る東海三県では普通に急発進急ブレーキ速度超過の無謀運転が当たり前ですので、 エコカーの意味など全くないんですけどね。

とまあ、そんな事はさておきまったりと行くとしますか、と北関東自動車道に乗ります。
若干雲が出てきたかな?と思いながら進み、常磐道の石岡あたりに来て実家の方をみると…
なんと空は真っ暗でした。おまけに雷光がひっきりなしに…
この先渋滞との事なので千代田PAで休む事にし、再び実家の方をみると、やはり雷雨のようです。筑波山脈の手前(東側)では、 なにやら上空から逆三角錐のように垂れている雲が。竜巻?
後ほど情報で物凄い豪雨だったとのことが判明しました。竜巻ではなかったようでひとまず安心です。
まあ、落雷は凄かったけど…

帰路は首都高でまた遠回りした以外、わりとすんなり帰ってこれました。
なんか、おおきな満足感と釈然としない思いが混在した2日間でしたが、航空祭そのものは非常に満足な内容でした♪



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