さて、サブストーリーズの第2弾です。
今作品の舞台となるのは、2年次の学園祭です。題材にもある「Leaping」とは直訳すれば「跳んでる」
という意味ですが、この場合は「とんだ学園祭」と表現するのがベターでしょうかね。うそですけど。
この作品でのメインヒロインは、前作と同じく3人。「伊集院 メイ」、「赤井 ほむら」、そして「一文字 茜」。
サブタイトルどおり学園祭を軸とした物語の中に、主人公をめぐる3人の駆け引き(というかメイとほむらっちは完全に
バトル)をエッセンスとして構成されています。
ただ、その中でも突出してシナリオが奥深いのが一文字さんのシナリオでは無いでしょうか。
言ってみれば、今作品における本当のメインは実は一文字さんであると断言できるほど、です。
今作品の特徴として、それぞれのシナリオに突入すると他のヒロインとの絡みが薄くなる、という点でしょうか。
ヒロイン毎に物語を集中させている、とも言えなくも無いですが、実際のところそんな感じはあまりしません。
むしろ、やや手抜きかな?とも思える印象があります。
とはいえ、それぞれの物語は全て納得がいく内容(主人公に対して、というのは別として)になっており、前作に
見られたような本編の複線をなぞる、という物よりも3人の人となりに焦点を絞った物といえるでしょう。
それぞれのシナリオで見られる、本編では見られなかった表情や仕草、というか雰囲気を楽しむための作品と
割り切っても差し支えないのではないでしょうかね。
というのも、今作品での主人公は、本編以上に「ボケ男くん」なので。
のっけからメイとほむらっちの言い争いにおたおたするし、それぞれのルートに進むにも全てなし崩し的に突入
するし。
「DSV」の八重さんシナリオでの主人公と同じとは、どうしても思えない「ヘタレっぷり」をかましてくれます。
ただし、今作品の3ヒロインも、「DSV」のヒロイン同様に主人公が「純粋なボケ」である事を重々承知している
ようですし、特に一文字さんに至ってはそれでこそ主人公とまで言ってしまっています。
私が「確信犯」だと言う根拠は、ここにあったわけですね。
これが次作「MRO」への複線かと思うと、ちょっとシナリオライターは「楽しすぎ」なんじゃないかな、とも
勘ぐってしまいます。
いろいろと酷評ばかりが続いてしまいますが、作品自体は出来は良いと言えますし、オープニングムービーの力の
入れようからも、作り手は決して「駄作」を作ろうとした訳ではない(当たり前か)事は充分理解できますね。
まあ、実際にプレイするとそれ程気にならない程度ですんで、私的には良いと思います。
では、例によってキャラクター別の物語を追ってみましょう。
いつも元気でパワフルな一文字さん。
今作品での彼女もまさにそんな感じが溢れていますが、シナリオが進むにつれて彼女のもう1つの顔、
いわゆる「女の子らしさ」がクロースアップされてきます。
相変わらずバイトに忙しい日々を送りますが、ある日バイト先の食堂の大将が倒れてしまいます。
1人で店を切り盛りする事となった一文字さん。
普通なら、経営者不在となれば店は休業となるのでしょうが、それでは一文字さんも困ってしまいます。
なぜなら彼女の家計、いわゆる収入はここでのバイト代がその全てなのですから。
実際にはそうでは無いのかもしれません。どう考えても、バイト代だけでは生活できないでしょうから。
食費などの生活費をはじめ、学費や固定資産税などもあるでしょうし。家でかいしね。
でも、彼女の経営、というか営業手腕はともすれば大将以上かもしれません。料理の腕も然り。
そのあたりの不安は全く無いといっていいでしょう。
でも、1人ではなにかと大変なのも事実です。そのあたりはいくら鈍感な主人公も弁えているのでしょうか。
だから手伝う気にもなったんでしょうね。
主人公の動機は別として、一文字さんからすればそれはとても嬉しい事だったはずです。大将には悪いですが
「怪我の功名」とはまさにこのことでしょう。
しかし、それと同時に主人公に対して申し訳ないと、負い目を感じてしまう事も確かです。まっすぐな彼女の
ことですからそれは当然とも言えるでしょう。
時はまさに文化祭準備真っ只中です。
学校行事、それも文化祭といば、大切なイベントです。それを自分のせいで参加できなくなってしまうのですから
感謝よりも申し訳なさのほうが先にたってしまうのでしょうね。
それは「好きな人と一緒に居られる」ことよりも大きな気持ちとして彼女にのしかかってきます。
それでも、主人公とのひと時は彼女のそんな気持ちを払拭してくれるに充分なんでしょうね、なにより主人公が
自主的に手伝ってくれているのですし、そこに見返りや打算といった感情が全く無いことを予め解っているから
こそ、余計に嬉しく思えるのでしょう。
悪い事は重なるもので、この後色々と起こります。でも、両親の事は別として風邪をひいた時などは、これも
まさに「怪我の功名」となって、かけがえの無いひと時を過ごせる結果となりました。風邪をひいた本人にすれば
体力的に辛いものはありますが、あれはあれで一文字さんにとっては嬉しいことだったのでしょうか。
やがて大将が復帰し、一文字さんも文化祭の準備に参加することとなりますが、ここで彼女はまた辛い思いを
する事となってしまいます。
でも、それは一文字さんのみならず抱く「辛さ」である事は彼女も理解していた事。だから慰める主人公に対して
毅然とした態度で、準備の手伝いに復帰する事になったのでしょう。
そして迎える文化祭当日・・・。
この作品では、彼女の「女の子」らしさが1つの見せ場でもありますが、本編でも時折みれるそれよりも一際
「らしく」見えてきます。特にバイト先での主人公とのひとときでは、以外(というかやっぱりというか)な
一面も見られたりして、一文字フリークはさらに彼女の魅力に取り付かれることとなるでしょうね。
シナリオ自体は可もなく不可もなく、といったところでありますが、それよりも彼女の魅力を堪能する物語
だともいえます。
やはり、何処までも「男らしさ」に溢れるほむらっち。
ですが、その言動は別として気持ち的にはやはり「女の子」ですね。
校長に主人公との仲をからかわれて照れるあたりはその顕著な例でしょうか。
それよりも、主人公の「煮え切らない鈍感さ」を理解しているところは、気持ち的ではなく完全に女の子である
事の証明ですね。なんか失礼な言い方になってしまうな・・・。
この作品では、彼女の家庭環境を余すところなく堪能するシナリオともいえます。
そのオマケとして、彼女の女の子らしい面が見られる、といったところでしょうか。
時折見せる女の子らしさは、恐らく彼女の「意図しない場面」に表れると言えます。それは、ちょっと気を抜いた
ときに見せてしまう「隠している自分」とも取れます。
彼女の気持ちって言うのは、どこか捉えどころの無い物に感じてしまいます。天真爛漫といっていい彼女は
存在感が先に立ってしまっているが為に、その本当の姿がかすんでしまうといった具合で。
無邪気に(時として悪意もあったり)遊ぶ姿はたぶん、子供の頃のままでいたいという意思表示なんでしょうかね。
でも、学園祭のキャンプファイヤーの時に見せた姿は、それとは別の「女の子」の姿。
きっと彼女は、大人と子供の境界線がはっきりしている数少ない女の子なのかもしれません。「MRO」の彼女の
エンディングではやや子供っぽさを残していますが、その時に見せる大人の女性と言う印象がじつは、彼女の本来
の姿なのではないでしょうかね。
惜しむらくはこの作品では完全に脇役になってしまっている所。彼女のシナリオはどうにも印象が薄くなってしまっています。
我侭という言葉がぴったりというイメージがあるメイですが。
実際の所、それほど我侭だとはあまり感じられませんね。特に本編では。
という訳ではないのでしょうが、この作品ではメイの“我侭ぶり”が前面に押し出されているような感があります。
無論、それは主人公に対して、のことですが。ほむらっちとの事はもはやいつものレクリエーションと化していますしね。
しかし、それと同じくらいにいじらしさと言いますか、反対の素直な面も覗かせています。
兄(姉)のレイと同じように、恋愛に関しては自由にならないことに対する悲しさが、どこか彼女を
「我侭」にしている、言い換えれば「我侭なふりをさせている」という感じがします。
この作品で主人公は、初めて彼女の屋敷の敷居をまたぐわけですが、その中は本当に漫画の貴族社会そのまま(いや、これも
ゲームですが)で、部外者に対してはいたく排他的です。
そんな「自由にならない部分」を、本当は主人公には見せたくなかったのかもしれません。
でも、ほむらっちとは差をつけないといけないから。学年が違うから、その時点で差がついてしまっているから。
学園祭でのごたごたは、もはや「痴話喧嘩」そのものではありますが、彼女が本当に望んでいたものは、実はこういった
本音で付き合える「友達」や「恋人」だったんじゃないかな、とも受け取れます。
庶民、庶民と、あえて差別の言葉を出す彼女ですが、へそ曲がりなメイです。それは「照れ隠し」と受け取っても
いいんじゃないでしょうかね。
ある意味、一文字さん以上に「自由」ではない彼女、その部分を甘受せざるを得ない現状では、必要以上に仲良くなる
事は、互いに辛くなる事はあっても思うがままに付き合う事ができない、その部分を弁えているからこその「我侭」
なのでしょうかね。
終盤、そして本編で見せるしおらしさは、ある意味自由への扉をすこしだけ、自分で開けた故の自信からくるのでしょうね。
いやあ、文章書くのって、つくづく難しいもんですね。
今回の「LSF」は特に難しかったです。
作品自体は面白いことは確かです。保証しますよ。
ただ、この作品を語ること自体、非常に難しいものがありまして・・・。
あわよくば一文字さんのシナリオ一本でごまかそうとも思いましたが、それでは他の2人が不憫だし、ね。
もともと文章能力もボキャブラリーも貧困な私、綺麗にまとめるなんてできませんです、はい。
「起承転結」なんてもってのほかですしね。
じつはこの作品も、その「起承転結」が明確ではないんですよ。あることはあるんですが、時期自体が「高校二年の秋」
ですから、本編での「承」と「転」の過渡期でもあるんですよね、そこに来て掴み所の難しいキャラですし、先は見えて
いるにしても後1年あるし・・・
まあ、いずれにしても、この作品は実際にプレイしたほうが実感として把握できるのでは無いでしょうか(うわ、逃げた・・・)
一文字さん萌えの方には超オススメです。
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